池のおもてを / イワン・ブーニン
明るい朝に池のおもてを
すばやくツバメがぐるりと飛んで、
水面(みなも)に下りては、
わずかに水にさわる羽。
夏中、ツバメは高らかに歌い、
あたりは緑の深まる草地、
そして、鏡と見紛う池に、
岸辺が写り込んでいる。
鏡写しに、葦のあいだに、
岸から逆さになった森、
そして去りゆく雲の模様が
反射した空の奥深くへと。
雲は彼方で柔らかく白く
奥底は果てなく、明々と……
そして規則正しく野の方から
水面(みなも)に届く村の鐘の音。
初出:1887
出典:
・ひとこと
イワン・ブーニンによる夏の詩です。