翻訳と日々

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夏の夕べ / アレクサンドル・ブローク

日没の最後の光線が

横たわる収穫を終えたライ麦畑。

まどろむ薔薇色に抱かれた

刈り取られなかった畦の草。

 

微風もなく鳥も鳴かず、

木立のうえには——美しい月の円盤、

刈り取る女の歌も途絶える

夕べの静寂のただなかに。

 

不安も悲しみも忘れてしまえ、

走り去れ、当てもないまま馬に跨り

霧の中そして草原の彼方へ、

まっすぐ夜と月をめがけて!


1898年12月13日

 

出典:

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・ひとこと
夏の最後の詩は、象徴派として知られるブローク。ライ麦の収穫は6月ごろのようなので、この詩は夏の初めの詩のようではありますが……
そういえば、先日観た映画『ドブラートフ レニングラードの作家たち』で、主人公が「ブロークは天才だ」というシーンが(あったような気がして)印象に残っています。


『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』予告編