翻訳と日々

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十月の朝焼け / イワン・ブーニン

 

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夜が白み、月が沈み

川の彼方で赤い鎌となる。

陽を浴びた霧が草地の上で銀と輝き、

香蒲はそぼ濡れ靄がかり、

風が香蒲をざわめかす。

 

静寂の村。礼拝堂の灯火が

霞む、気怠く燃えながら。

凍えた庭のまたたく薄明に

草原から波のごとく注ぎ込む冷気……

ゆっくり赤らむ暁どき。

 

1887—1894年

 

出典:

ru.wikisource.org

 

ひとこと
ブーニンが10代後半から20代前半の頃の作。若き日の習作といったところか。
もう10月も最後の日ですが、本州ならばこれからがこの詩に描かれた季節になるだろうか。