翻訳と日々

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雨が降るまえに / ニコライ・ネクラーソフ

物憂い風が疾走し

雨雲が立ち止まる空のふち

ひび割れたモミの木がうめき、

低く囁く暗い森。

 

小川には、斑点のようにまだらになって、

葉が葉の後を追いかけ飛び交う、

そして乾いた激流となって

注ぎ込んでくる冷たい風。

 

薄闇が辺り一面に広がると、

四方から飛び寄って来て、

啼き声をあげて空中を

舞い続けるはカラスども。

 

通りがかりの二輪馬車の上、

幌が下げられ、前は閉じられ、

「さあ行け!」と、腰を浮かせて鞭を持ち、

御者に憲兵が叫んでいる……

 

1846年

出典:

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・ひとこと
下層民や農奴たちに寄り添った視点から詩を書いていた詩人です。