新雪 / セルゲイ・エセーニン
進む。静かに。カチャカチャ鳴る音
蹄が雪を踏むのに合わせる。
ただ灰色したカラスたちが
騒ぎはじめた草はらのうえ。
目に見えぬものに魔法をかけられ、
眠る森は夢物語の中。
まるで白いスカーフを
巻きつけたような松がいた。
曲がった腰は老婆のごとく、
杖にすがりついていた。
そのいただきのところでは
キツツキが枝をつついていた。
馬は駆ける、広野をいくつも
降り積もる雪に広げたショール。
果てしない道が
遥か彼方へ続いている。
初出:1914年2月
出典:ФЭБ: Есенин. Пороша. — 1996 (текст)